アビスパ福岡 クラブ初の企画に迫る!~サッカーを通じて福岡の街を元気に!~

6月27日、新型コロナウイルスの感染拡大により中断していたJリーグが再開された。7月10日からは観客を入れて試合が行われている。※上限5,000人

待ちに待ったシーズンが再開されたが、まだコロナウイルス禍が収束したわけではない。中断から約4カ月間で、各クラブやホームタウンは大きな打撃を受けた。

そこでJ2所属のアビスパ福岡は、地元企業と共同でプロジェクトをスタートした。

”サッカーを通じて福岡の街を元気に!”をキーワードに、「ALL FUKUOKAクラウドファンディング」を8月29日より開始。

地元スポンサーと手を組んだクラウドファンディングはクラブ初の試みという今回、アビスパ福岡の各関係者に本企画への想いについて4回に分けてお送りする。

第1回は代表取締役社長 川森敬史(かわもり たかし)氏と社長付副本部長 梶原健(かじはら たけし)氏に登場いただいた。

スポーツクラブの影響力を活かした情報発信

今年に入り世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大。アビスパ福岡も例外なくその影響を受けている。

試合日程の組み直しや九州ダービーの無観客試合、運営する「アビスパ福岡アカデミー&スクール」の活動休止を迫られた。

現時点でスポンサーを降りる企業はゼロ。しかし、今シーズンはスポンサー企業の業績悪化が予想されるため、来シーズンの営業収入が大きく下がる可能性もあるなど経営の先行きは不透明だ。

そんな状況の中、クラブは2月中旬からサポーターそしてスポンサー企業に向けた企画を継続的に行っている。

SNSでスポンサーの関連情報を拡散したり、全526社(6月29日、動画公開時点)の紹介映像を公式Youtubeチャンネルで配信。選手会も協力し、オンラインでのファン感謝祭や地元自治体へのマスク贈呈など、この状況の中でできることを続けてきた。

スポンサー全526社の紹介映像を配信(公式Youtubeチャンネルより)

さらに川森社長自身もTwitterで、緊急事態宣言中ほぼ毎日クラブやスポンサー企業の情報を発信し続けた。

「こうした有事の時は、特に『社長がどんなことを考えて何をしているのか』をサポーターの皆様やスポンサー様にも見える化した方がいいと思い取り組んでいます」

川森社長のTwitter。積極的な情報発信を行っている

スポーツクラブの持つ発信力を活かし、リーグ戦が再開した現在もクラブの公式ホームページでこれらの紹介は続けている。

8月、クラブ初の取り組みがスタート

8月29日、アビスパ福岡は地元スポンサーと連携した企画「ALL FUKUOKAクラウドファンディング」をスタートした。

「サッカーを通じて福岡の街を元気に!」を合言葉に、スポンサー企業と共同で地元にこだわった返礼品40品以上を用意。クラウドファンディングを通じてお届けすることで福岡を活性化する一大プロジェクトである。川森社長はその狙いについて語った。

スポンサーや福岡にゆかりのある返礼品を多数用意している(写真はふくや様)

「クラブもスポンサーも痛手を被っている中、ふるさと福岡をキーワードにした返礼品を通じて福岡とアビスパに関係した商品が流通するというのが1つ狙いになります。

まちの皆さんには地産地消としてご利用いただき、福岡県外に住まわれている方にはふるさとを思い出して元気になっていただければという想いです」

地元スポンサーと連携した企画というのはクラブ初の試みである。この企画について以下のように期待を述べた。

「返礼品もアビスパ福岡、地元の商品にこだわっていまして、福岡のマーケットが少しでも流通して経済活動の一助になることを期待しています。あと社会環境も考慮しながら旅行券もご用意する予定です。新しい生活様式の中でぜひご来福いただき、福岡の街で飲食や観光をしていただければということも考えています」

オンラインで半年間の活動を報告した(クラブ提供)

メインは地域経済の活性化だがそれだけではない。プロスポーツだからこそできることがあると考えている。

「プロスポーツクラブとして前向きな発信をすることで、コロナ禍のネガティブな雰囲気を吹き飛ばしたい。この活動によって地域のみなさんが元気を取り戻すきっかけにしたいという期待もあります」

地域と連携する意義

クラブを運営するにおいて、地域との関わりは欠かすことができない。

アビスパ福岡も96年にJリーグに加盟してから今年で25年目、地元の自治体と連携して活動してきた。

アビースクール(幼児から中学生を対象にしたサッカー教室)や試合前の親子サッカー教室の開催はいずれも自治体から受託。これらはスクール運営費で成り立っていることから経済活動となっている。

かつ、スポーツを通じて市民との交流やコミュニケーションの創造を通じて地域に貢献するなど、クラブと地域で相互にメリットをもたらす仕組みができている。

アビースクールもクラブの主要事業の1つになっている(クラブ提供)

川森社長は地域と連携して活動する意義についてこう考えている。

「私はクラブが地域と連携する意義は、いくつかあると思っています。ひとつはスポーツ振興により、地域の方々がスポーツを生活に採り入れていただく健康促進とともに、地域の方々のコミュニケーション促進に寄与できるということです。

特にコミュニケーションという側面では、地域を本拠地とするチームによるエンターテイメントの提供は、ホームタウン活動などで身近な選手が、地域名を背負って戦うことで親近感を持ってもらうこと、そこで喜怒哀楽を共に感じていただくことは、郷土愛や仲間意識の醸成にもなり、生活に彩りと潤いをもたらしてくれると思っています。

また、第三次産業が活発な福岡ではアウェイサポーターのみなさまが応援に来た時、福岡のグルメやお土産、観光をしていただくといった地域経済の活性に一役買っていると考えています」

同じ質問を梶原健 社長付副本部長にも答えていただいた。

梶原副本部長は10年にBリーグ・千葉ジェッツ(現千葉ジェッツふなばし)を創設した。その後、野球やフットサルなどスポーツの経営コンサルティングを経て19年5月にアビスパ福岡へ入社した。

千葉ジェッツ(現千葉ジェッツふなばし)の創設者でもある梶原副本部長

スポーツと地域における考え方について、他の競技を経験したことも交えて話した。

「スポーツチームというのは地域に根付いて行くのが絶対条件です。私も様々な競技に携わる中で、郷土愛の醸成とか人づくりなど、地域コミュニティづくりの基礎となる役割を担う点では共通だと思っています。その中でもJクラブは知名度、地域との関わりの歴史、クラブ組織体制等を考えても特に地域との結びつきが強いと感じています」

アビスパ福岡のホームタウン活動は述べ2227回、26,545名もの皆さまにご参加いただいた。今後もさらに増やしていきたいとクラブは考えている。

スポンサーとの新たな関係性

アビスパ福岡は、特定の親会社がない「市民クラブ」である。

運営は福岡市をはじめとする自治体やスポンサーからの出資によって成り立っている。

現在スポンサーの数は580社(8月31日時点)。川森社長が就任した15年の186社から3倍以上に伸ばしてきた。この数はJリーグでも上位に位置し、クラブの地道な営業努力の賜物である。

クラブにとってスポンサーは通常のビジネススキームにあるような「出資⇔広告」のみにとどまっていない。

ユニホームの掲載にあるように、多くのスポンサーで成り立っている(クラブ提供)

大口スポンサーを始め、出資関係はなくてもサポートいただいている全ての企業に向けて、クラブとしての活動や今後の取り組みについて毎月報告会を実施している。その中でアドバイスをもらうなどして、重要な“パートナー”という関係性を築いてきた。

今回のコロナショックは、アビスパ福岡にとってステークホルダーとの新たな関係性を創り上げる機会となっている。“パートナー”からさらに関係を発展させていくために、クラブが出来ることは何だろうか。 

「スポーツチームは地域のつながりが太いので、クラブがスポンサー様と地域の連携役になることが望ましいと考えています。特にBtoBの企業さんはC(customer)の皆様(サポーターや地域)と関わる機会も少ないかと思います。なので我々が地元スポンサーと地域をつなぐパイプ役になって、地域連携をミッションとして関わっていきたいです」

地域とスポンサーのパイプ役になりたいと語った(クラブ提供)

本企画の期待について梶原副本部長も川森社長と同じ想いを持っている。

「私も川森と一緒の想いです。スポーツチームは民間企業ではあるのですが、公共的な要素もあります。

企業と行政の間に入れる中立的な団体なので、その意味で地域とクラブ・スポンサーだったり、地元の人たちをうまく結びつけるハブとしての機能になるべきですし、そういった環境を創っていきたいなと思っています」

支援者の方々へのメッセージ

いよいよクラブ・スポンサー・そして福岡に関わる全ての方と一緒に取り組むプロジェクトが始まった。最後にメッセージをいただいた。

川森社長

新型コロナウイルスは経済活動にとどまらず私たちのマインドにも影を落としていますが、アビスパ福岡はそんな状況下でもスポーツを通じてふるさと福岡に誇りや活力を感じていただける存在になるために、まずは試合で勝利することだと思います。

2020シーズンの目標に掲げているJ1自動昇格に向けて立て直しを図り、ここから加速して行かなければなりません。最善を尽くして頑張りますので、私たちに経済的支援を賜れれば大変ありがたいと思います。そしてこの難局を共に乗り越えていきましょう。どうぞよろしくお願い申し上げます。

梶原副本部長

本企画には我々の想いが詰まっています。何よりもまちを元気にするためにはヒトやモノ、お金が動かなければいけない。それにより経済が回り、地域が潤い、まちが元気になる。そしてクラブが盛り上がりサッカーも盛り上がることにつながっていきます。

今はまだ自粛モードが強いですが、まちを元気にするためには地域の経済活動に積極的に関われるような環境が生まれてほしいという想いがあります。福岡にいらっしゃる方だけでなく、世界中にいる福岡に縁がある人たちに”福岡を元気にする!”という想いを感じてもらえればと思っています。

次回はスポンサーの立場としてクラブをどう支えているのかにフォーカスを当ててお送りします。

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